2012年8月20日月曜日

パリは危ないという話を続けて書いてしまいましたが、親切にしてもらって感謝していることもあります。

シャルルドゴール空港からパリ市内へのアクセスについてネットで調べると、バスがお勧めのようです。
RER(電車)は「パリの初心者」向きではない、と書いてあるサイトもあります。
そうはいってもホテルはがRERの最寄駅から徒歩で行けるところにあるので、あえてこちらを選びました。
駅までなんとかたどり着けましたし、切符も購入できました。

あとは電車に乗るだけ、というところで「あれれ」です。ホームはどこ? 階段は?エスカレータは? あたりを見渡して立ちつくします。しばらくしてときおり人が出入りするドアのようなものが目に入りました。駅の外への出入り口かなと思いつつ近くまで行くとそれが改札口だとわかりました。ドアつき改札機。30年ぶりのパリはなかなか一筋縄ではいかないかも。

いったん中に入ると別のホームへ移動することもできないようなので「パリ行き」の表示を確認してから、改札機に切符を通しました。ホームで行き先案内を確認します。先発も次発も「北駅」止まりです。私が行きたいのはそこから2つ先の駅です。乗り換え大丈夫かなと思いながら電車に乗りました。席は空いているのですが、立ったまま経路図を眺めていると「どこまで行くのですか」と英語で声をかけてくれた人がいました。

「サンミシェル・ノートルダムまで」と答えると、「ガデノー(そう聞こえた)で降りたら下の階で乗り換えられるよ」と教えてくれます。「北駅ですよね」「そうそう」
その親切な男は若い東洋人の女性といっしょでした。すこし離れた席に腰をおろします。電車はなかなか出発しません。

「降りる駅はちがうけど、俺たちも乗り換えるからついてくればいいよ」
男がふたたび声をかけてきてくれました。
「ご親切に。そうさせてください」
私がそう答えると、二人が通路をはさんだ向かいの席に移動してきました。
「今はがらがらだけど、途中で満員になるから、離ればなれになるといけない」

電車が動き出しました。二人の会話が聞こえてきます。フランス語にまじって「お父さん」「お母さん」「おばあちゃん」といった日本語が聞きとれました。フランス人が「鳩サブレ」と言うので、思わず顔を見てにやり。停車するごとに乗客がふえて満員になりました。私たちのまわりはアフリカ系の人たちばかりです。
北駅に到着しました。スーツケースを抱えた私がはぐれないように、二人は気をつかってくれます。階段を下ります。後をついて行くと乗換え口が工事中で封鎖中でした。立ち止まると人とぶつかるほどごった返すなか、なんとか別の階段からホームへ下り、電車に乗り込めたときは、ほっとしました。

「助かりました。一人だったら迷うところでした」
日本語でそう言うと、二人が笑顔を見せました。
「サカモトと言います」
女の子がなにかささやくと「ジョスです」と答えてくれました。
「ジョスさん、メルシーボクー」
混雑した電車のなかでしたが、二人の写真を撮らせてもらいました。
二人は次の駅で降りました。
「サカモトさんはこの次で降りてください」
最後まで親切な二人でした。

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