2012年8月20日月曜日

パリ初日の日記の締めくくりに、機内での話の続きを書いておきます。
アテンダントのNさんに「名前を呼ぶとき<様>でなく、<さん>付けでお願いします」と頼みました。

Nさんは「ではそのように」と快く答えてくれました。
ですからクイズの正解は1番です。ところが「サカモトさん」とは、なかなか呼んでもらえませんでした。
ほかの2人のアテンダントさんにも伝えてくれると、Nさんがおっしゃっていたのですが、チーフはずっと<様>でした。


しばらくしてNさんが来られました。
「やっぱり<様>ではいけませんでしょうか。お客様をさん付けは難しくて」
「無理には言いませんけど」と返事すると、ではということで「サカモトさん」と、一度だけ呼んでくれました。

まもなくシャルルドゴール空港へ着陸というとき、チーフが回ってこられました。
「Nからうかがっていたのですが、どうしてもさん付けで呼ぶことができませんで」
「こちらこそ勝手なことを言って、申し訳ありませんでした」

なにしろマイルを貯めて特典航空券で乗せてもらっていることですし、無理を言って困らせるのは本意ではありません。
前回サービスと期待値について書きましたが、JALも乗客の期待値を想定して、サービスの内容、水準を決めているのでしょうね。政治家や役人、企業の役員といった税金や会社の費用で乗る方、庶民とはかけ離れた金銭感覚の持ち主が、どういうことを期待しているのか、私のようなものには量りかねます。JALはそのあたりを把握しているからこそ、評価を得ているのでしょう。

特典航空券で乗る身としては、よけいなことを考える必要はありませんが、ふとへんなことを想像してしまう悪いくせがあります。国際線のファーストクラスに乗ってみたいとあこがれている知人がいるとします。こつこつと貯金をし、やっとのことでお金が貯まったから「これでパリ往復のファーストクラスの航空券を買うんだ」とうれしそうに話してくれたとします。JALのファーストクラスには、一般向けの割引運賃がありません。正規運賃は高価です。それだけに知人の期待の高さがうかがわれます。

それを聞いたとき、私はなんと言えばよいのだろうか。
「今度子どもが生まれるって言ってたよね。奥さんは了承してくれたの?」
「拝みたおして、OKしてもらったよ」
「へえ、いい奥さんだね」
「運賃のことは、安売りが手に入ったと言って、ごまかしてるんだけどね」
「それは後々、問題にならないかい?」
おそらくこんな会話になりそうです。

快適なサービスを受けられるのは体験していますし、期待に水を差すようなことは、できればしたくありません。
しかし期待が大きすぎると、充分な満足が得られないのでは、とつい心配になってしまいます。
私のまわりには、そんな人はいそうにありませんので、取り越し苦労にすぎませんが。

さて帰りの便でまた、なにか頼んでみようかな。
まわってきたアテンダントさんに話しかけると、けっこうおしゃべりにつきあってくれることがあります。
こちらは席についたままで、アテンダントさんは立ったまま、あるいは席のそばにかがんで、話をきいてくれます。
ずっとかがんでいるのは楽ではないでしょう。揺れたさい、けがの原因にもなると聞いたことがあります。それで気がひけるので、あまり長話はしないようにしています。

そんなときもし「女性を立たせたまま(かがませたまま)話をするのは、どうも気がひけます。私が立つのでこの席に座ってください」と言ったとします。
「さん付け」もなかなかしてくれないぐらいですから、いくら客の要望でも「ではそのように」とはいかないでしょうね。
チーフに見られたりしたら、きっと叱られるでしょうし。
旅にでると、なぜかこんなことばかり考えてしまいます。

0 件のコメント: