2011年6月1日水曜日

ロバの島



朝の6時半にクルーズ船に別れをつげて、ピレウスからイドラ島行きの水中翼船に乗船。
一時間半あまりで到着した島は、期待していた以上にステキな島でした。

ちなみにイドラはアルファベットではHydraと書きます。
つまりヒドラです。
ギリシャ神話に出てくる九つの頭をもつ海蛇、
マンガ版の「風の谷のナウシカ」にも出てきます、蛇じゃないですけど。
英語だと別の読み方、意味になるのかな。

サントリーニ島にもロバがいましたが、ロバの島ということでは、
イドラのほうが「本家本元」(と独断で言い切ってしまいます)。
なにしろイドラ島は車やバイクの乗り入れが基本的に禁止です。
ロバが唯一の陸上交通機関なので、人も乗りますが、荷物を運搬中の姿を
よく見かけます。

ガイドブックには「車やバイクの乗り入れが禁止」と書いてありましたが、
じつは車を見かけました。
港のカフェでビールを飲んでいると、フェリーが到着。
一台のオリーブ色のトラックが出てきて、どこかに走り去りました。
カフェでだらだらと時間をすごしていると、トラックがもどってきてフェリーに
乗り込みます。荷台にはゴミ袋が山になっていました。
ゴミ処理はロバの背では間に合わないんですね。

動いている車を見たのは、このとき限りでした。
とまっているのは一台、歴史博物館の横にこっそりと黄色い回転灯を備えた車を
目にしましたが、こちらは緊急車両なのか、ナンバープレートもありませんでした。

こちらでも観光客をロバに乗せますが、サントリーニとちがってロバの表情が
おだやかです。サントリーニのほうは高いがけの上まで上ったり下りたりだけでも
つらいでしょうに、つねに追い立てられていて、途中で一息つくことも許されません。
少しでも立ち止まると、グループの後尾から追ってくる親方のするどいかけ声が
とんできます。それを聞くとロバは恐怖にかられたように走り出します。

サントリーニのロバの通り道は糞(ふん)だらけです。ところどころは糞で埋まっていると
言ってもよいくらいです。おそらくケーブルカーで上った観光客だろうと想像しますが、
「もどりは歩くか」と知らないで下りてきたのが運のつき、足の踏み場もない坂道で
立ち往生しているところに、いく度も出会いました。
なにしろ、においもただ事ではありません。

ロバに乗っている間じゅう、万一ロバが転んだらケガをするもこわいですが、
糞だらけの格好でどうやって船にもどればいいものやら、満員のテンダーボートの
なかで、身がすくむ思いだろうな、とそちらも心配でした。

イドラで気がついたのは、道のどこにも糞が落ちていないこと、くさくない
ことでした。多少は痕跡くらいは目にすることがありましたが、これだけ多くの
ロバが行きかっているにしては、不思議なほど清潔です。
理由はすぐにわかりました。てロバが糞をする現場に出会わせたからです。
糞をすると、手綱の引き手はロバをその場でとめて、ちりとりとほうきを取りだし、
ていねいに糞をひろい集めます。そして布製の袋につめるのです。

年寄りでも若者でもおなじです。ロバにたいして悪態をついたりするものはいません。
犬の糞とは量がちがいますから、手間がかかります。
その姿はまるで人間がロバに奉仕しているかのようです。

サントリーニではロバのことが、なにかしら気がかりでしたが、
この島にやってきて、なんだかほっとしました。

参考ビデオ(食事どきの方は見ないでください)

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