2008年11月13日木曜日

旧EKO(現ArcelorMittal Eisenhüttenstadt GmbH)見学中



EKOでの仕事が決まるまで、私は「あつえん」などという言葉を耳にしたこともなかった。なもんで念のために、ちょっくら解説を。冷間圧延は、製品(鋼板)の厚みの調整や、表面の仕上げをする工程だ。「鉄は熱いうちに打て」というが、ここでは冷たい板をそのまま扱う。そのためロールにかける圧力は1cm2あたり2百トンにも達するとか(記憶がおぼつかないので、まちがっているかも)。この圧力調整は油圧でおこなわれている。縦横に油圧配管が張りめぐらされた床下のオイルセラーも見ものだが、今回は時間
の都合でパスするほかなかった。

ちなみに建屋の反対側にあるソ連製のタンデム圧延機は、電動モーターでネジを巻くようにして圧力をかける仕組み。当時も相当古ぼけていたが、こちらも現役と聞いてびっくりした。青いカバーで覆われていて本体を目にすることはできなかった。

写真1.6Hiミルはフードの色が青に変わっている。
写真2.改修後の制御盤(昔よりカッコいい)。
写真3.圧延機の内部(放射能のマークは厚み計が放射線計測をしているから)

20人いた当時のオペレータで、今もこの工場にとどまっているのはベルント・シュナーベル一人だけ。当時から高炉の火は消えたままだったが、製鉄所らしく年中無休の4班3交代勤務だった。どの班も男4、女1の構成で、圧延機の操作にあたるのは男子のみ。女性の職場進出が進んでいる東ドイツにしては、ちょっと不思議な感じがしたものだ。ベルントによると、ほかのオペレータたちは、統一後、ほとんどがこの町を去ってしまったとのこと。みんな若かったから仕方あるまい。親しかったSさんの消息をたずねてみたかったが、二人の関係はだれも知らないはずだからと思いとどまることにした。

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